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IPAが情報処理技術者試験の見直し案を公表 - 頻繁な再編に疑問
2026年3月31日、IPAは「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について」を公表しました。
今回の見直しで試験は完全に多肢選択式になり、記述・論述はなくなりました。 あわせて、現行の応用情報技術者試験とネットワークスペシャリストなどの高度試験が新制度へ再編され、2026年度の実施をもって現行制度は終了する予定です。
IPA
IPAの試験区分見直し案
2026年3月31日に公開された、試験区分体系の見直し案です。
www.ipa.go.jp
今回の変更で特に大きいのは次の3点です。
データマネジメント試験(仮称)の新設プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の新設応用情報技術者試験と高度試験の現行区分の終了
見直しのポイント
IPA が挙げている見直しのポイントは5つです。
データマネジメント試験(仮称)の新設ITパスポート試験の出題構成変更プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の新設情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験の一部変更情報処理安全確保支援士試験の一部変更
なぜ再編するのか
経済産業省は2025年5月に公表した「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会 報告書」で、「スキルベースの人材育成」を掲げ、スキル情報基盤や試験区分の見直しを論点に置いていました。
その流れを受けた形で、2026年3月31日の経済産業省のプレスリリースでは、今回の見直し案を「AI時代に必要となるデジタルスキルを習得・評価する試験へ」という方向づけで説明しています。
つまりIPAの主張によれば、今回の再編は単なる試験名の整理ではなく、デジタル人材像を「スキルベース」で組み直す流れの一部ということになります。

https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260331003/20260331003.htmlより引用
いつから変わるのか
新試験制度は、2027年度から移行予定です。
開始時期の目安は次のとおりです。
ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験は 2027年度春頃データマネジメント試験とプロフェッショナルデジタルスキル試験は 2027年度夏頃から秋頃情報処理安全確保支援士試験も 2027年度 に新制度へ移行予定
現行制度は 2026年度 の試験実施をもって終了予定とされています。
IPAは何度も再編してきた
今回の見直しは、受験者側から見ればかなり大きな再編です。応用情報や高度試験を前提に勉強してきた人にとっては、学習の積み上げ方や受験の順番そのものを組み直されることになります。
以下の図に示すようにIPAは試験制度の見直しをこれまで数回に渡って実施してきました。

https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/henkou/2025/20260331.htmlより引用
このように制度改定がたびたび行われてきた結果、試験体系は長期的に安定しているとは到底言えません。 情報技術の基礎自体は大きく変わるものではありません。こうした頻繁な試験再編が本当に必要なのかは疑問です。
まとめ
今回のIPA発表は、応用情報技術者試験と高度試験を含む試験体系を大きく組み替える一方で、制度の安定性や再編の必要性には疑問が残ります。論述をなくして完全に多肢選択式へ寄せたことで、評価できる範囲はさらに狭まり、現場には学習計画の立て直しや受け直しまで含む混乱が生じます。 せめて、IPAと経産省が掲げるスキルベースの人材育成が、再編後の制度でうまく機能することを願うばかりです。